人的資本経営は、年功序列や「働かない中高年層」を変えられるのか?
オープニング鼎談:岩本隆×徳谷智史×羽生祥子(2) 年齢によらない価値発揮ができる組織に変革を
「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」の創刊記念特集は、引き続き人的資本経営への造詣が深い岩本隆さん(山形大学学術研究院産学連携教授)、エッグフォワードのファウンダーで代表取締役社長の徳谷智史、「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」編集長の羽生祥子の3人による鼎談をお送りする。第2回のテーマは、「年齢差別」と「企業変革」だ。日本企業独特の年齢差別とは何か。日本企業を変革するにはどうしたらよいのか。3人が対話を重ねた。
組織が「働かないマネジャー」を作ってきた側面がある
羽生:プレイヤーから昇進してマネジャーになると、レポート業務ばかりが大変で、価値を生み出せない存在になってしまうという傾向があるかと。こういう問題にも踏み込まないといけないのではないでしょうか?
徳谷:同感です。私は、日本企業はマネジャーを飼い殺しにしている、と感じることがよくあります。組織のほうが、働かないマネジャー、働かないおじさんを作ってきた側面があるわけです。その最大の原因は、マネジャーの役割設定が緩く、マネジャー発のチャレンジがやりにくい構造になっているからです。マネジャーの役割をより明確にして、中心となって挑戦しやすい環境を作ることができれば、マネジャーも必ず価値を発揮できるはずです。基本的には優秀な方がマネジャーになるわけですからね。
羽生:そもそも、なぜ昇格すると「マネジャー=管理職」になるのでしょうか。マネジャーにならずにプロフェッショナルのまま昇進する、という道はないんですか?
岩本:外資系企業には、そういう道があります。たとえば、私が働いていたノキアには、マネジメントのキャリアラダーとは別に、プロフェッショナルのキャリアラダーがありました。まさにプロフェッショナルのまま昇進する道があったのです。もちろん、プロフェッショナルとして成果を上げていれば、給与はマネジメントのキャリアラダーと同じように上がっていきます。
徳谷:日本でも、複線型の人事制度を導入する企業は増えていますよ。ただし、マネジャーにならないキャリアに腹落ちしている人は、男性を中心にまだ少数派かもしれません。