人的資本経営は、年功序列や「働かない中高年層」を変えられるのか?
オープニング鼎談:岩本隆×徳谷智史×羽生祥子(2) 年齢によらない価値発揮ができる組織に変革を
「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」の創刊記念特集は、引き続き人的資本経営への造詣が深い岩本隆さん(山形大学学術研究院産学連携教授)、エッグフォワードのファウンダーで代表取締役社長の徳谷智史、「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」編集長の羽生祥子の3人による鼎談をお送りする。第2回のテーマは、「年齢差別」と「企業変革」だ。日本企業独特の年齢差別とは何か。日本企業を変革するにはどうしたらよいのか。3人が対話を重ねた。
いまの日本企業には、価値発揮していない中高年層が多すぎる
羽生:人的資本経営の先進国はアメリカなんですか?
岩本:アメリカに加えて、ヨーロッパも30年近く前から人的資本経営に力を入れています。私は以前、ノキアというフィンランド発のグローバルカンパニーで働いていましたが、いち早く人的資本経営に取り組んでいましたよ。
たとえば、日本企業には年功序列がいまだに残っていますが、欧米からすると、これは「年齢差別」です。日本企業はなぜ個人の具体的な成果や実力の中身を評価せず、年齢で判断して給与やポジションを決めるのか、というのが欧米企業の見方です。
羽生:岩本さんは、以前から年功序列が企業の成長を阻む原因だと指摘していますよね。
岩本:そのとおりです。さらにいえば、私からすれば、定年退職も「年齢差別」です。年功序列は若者への年齢差別で、定年退職は高齢者への年齢差別ですね。実力を正当に評価するなら、定年退職なんて必要ありません。優秀な方には、働ける限りはいつまでも働いてもらえばいいじゃないですか。
徳谷:いまの日本企業の大問題の1つは、価値を発揮していない中高年従業員が多すぎる、ということです。年功序列・定年退職・新卒一括採用などの仕組みを変えなくてはなりません。パーパス・ミッション・ビジョン・バリューをしっかりと言語化したうえで、それらをベースに採用・配置・育成を行いながら、価値発揮を正当に評価する。それができる仕組みを新たに導入し、組織を変革していくことが大切です。