人的資本経営ラボGROWIN' EGG

人的資本情報の開示といわれても、人に関するデータがない。どう進める?

開示する情報は定量的にとりまとめて

人的資本情報とは、年齢や性別などの基本情報だけでなく、企業内部の人々にスキルや能力・経験がどれほど蓄積されているか、など、人や組織の状態に関連する情報を指します。

そもそも、人的資本情報の開示は、何のためにするのかを考えてみましょう。

人的資本の情報を開示するのは、人的資本の現状やどんな状態にしたいのか(目指すゴール)を明解にし、その後の進捗や改善の状況を、ステークホルダーと継続的に対話するためだといえます。ですから、現状と目指すゴールのギャップを知るためにも、その後の進捗や改善の程度を測るためにも、基本的には「定量的」な情報として取りまとめ、開示していくことが期待されています。

ですが、実は人や組織に関わるデータは、社内に分散していたり、時系列でまとめられていないことが多いのです。その場合には、情報を集約・蓄積する環境を整えることが必要です。情報開示は1年に1度かもしれませんが、そのたびに、社内に散在する断片的なデータを人事がかき集めて、苦労して統合するのはあまりにも非効率です。効率的に情報を集約させられるようなツールを活用したり、現場と人事が相互に入力したり参照したりできるプロセスやルールも作る必要があるでしょう。

社員の健康・安全、労働慣行、ダイバーシティ、コンプライアンスなどから始めて

ただし、最初から完璧なデータを準備しようとして、情報開示の時期が大幅に遅れてしまうのでは本末転倒です。スピードを意識して、できるものから開示することが大切です。

基本的な項目比較的集めやすいデータは、社員の健康・安全、労働慣行、ダイバーシティに関わるデータ、コンプライアンスの状況などになるでしょう。