イケア「人の力を信じる」を、ビジネスに生かす真髄
究極の「人育て」企業:イケア・ジャパン(1)
人的資本経営のキーポイントのひとつ、人材育成に秀でた究極の「人育て」企業を紹介する。イケアでは、「We believe in people(人の力を信じる)」を基にコワーカー(従業員)の成長を促している。では、それを具体的にどう実践しているのか。人の力を信じることが、ビジネスにどのような良い影響を与えているのか。イケア・ジャパンPeople and Cultureのトップ、朝山玉枝さんから、究極の人育てを実践するマネジャーの役割、ツール、職場環境などを聞いた。
聞き手/羽生祥子(「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」編集長) 文/米川春馬
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昇進時に100%を求めずに「信じて任せる」会社
――「人の力を信じることが、ビジネスの成長につながる」というのは、聞こえは良いのですが、実際にはどのように機能しているのでしょうか。疑い深くてすみませんが、また事例を教えてもらえませんか?
朝山:たとえば、イケアはプロモーション(昇進)のときに100%を求めない会社です。つまり、マネジャーに就いた後に伸びる可能性を信じているんです。だから、マネジャーとしての能力を100%備えていなくても、昇進できることが多いんです。
私はマーケットマネジャーになる時点で、英語力・マーケットマネジャーの業務をする知識が明らかに不足していました。ただ、この仕事をしたい気持ちは本当に持っていたので、上司は私をプロモーションしてくれました。信じて任せてくれたんです。5年後、その上司は「あの時、Tama(編集部注:朝山さんのファーストネーム)を信じて本当に良かったよ。」と言ってくれました。うれしかったですね。こんな経験がイケアの中でいたるところで繰り広げられていて、受け継がれているのだと思います。ちなみに、英語ができないからとなんでもあきらめないでくださいね。英語も完璧でなくていいんです。必要なのは、その仕事をやりたい目的が明確であることです。
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朝山玉枝さん
イケア・ジャパン株式会社/カントリー P&C (People and Culture)マネジャー・人事部長