人的資本経営ラボGROWIN' EGG

「情報開示」をすれば、人的資本経営をしたことになるの?

開示=人的資本経営の実践ではない。人的資本の重点投資領域を見極めてアクションを打ち、その成果を効果的に発信する観点から開示を活用する

開示=人的資本経営の実践ではない。投資領域を見極め、成果を発信するために開示しよう

人的資本の「情報を開示すること」自体は、人的資本経営の目的でも本質でもありません。

人的資本経営は、人材を、企業経営における最重要な「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営手法です。したがって、人的資本経営を実践する上では、現在の組織や人の状態がどうなっていて、何が課題であるかを把握することが欠かせません。そのためには、人的資本の情報を定量的にも定性的にも蓄積し、分析する必要があります。これらの情報がなければ、中期的に目指すべきゴールを設定することもできませんし、何かのアクションを打った際の結果やROIを検証することもできません。

つまり、人的資本の情報を集めるのは、情報開示するためではなく、人的資本経営を実際に社内で推進していくための大前提なのです。

人的資本の情報開示を通じて得られる社内外からのフィードバックで更なる経営改善を

人的資本情報の開示とは、自社の成長戦略のなかで組織と人材をどのような状態に持っていきたいのか、現状と目指すべきゴールとのギャップはどうか、その解消のためにどのような打ち手を講じ、どんな効果が生まれているのかを定期的に社内外に発信することです。適切な情報開示により、人的資本経営の進捗の状況を社内外のステークホルダーに発信することができれば、自社の従業員のエンゲージメントの改善や、投資家からの評価の向上などの効果が期待できるでしょう。

一方で、情報を開示していくと、社内外ステークホルダーから、取り組みが不十分であるとか、別の取り組みを優先すべきといった指摘を受けることもあり得ます。これも価値のあるフィードバックです。大いに参考にして、その後のアクション改善につなげていくことが大切です。

人的資本情報の定期的な開示とステークホルダーとのコミュニケーションを通じて、人的資本経営実践のPDCAサイクルを回す状態ができるとよいでしょう。