人的資本経営ラボGROWIN' EGG

人的資本の情報開示、最新ルールは決まっていますか?

世界的に人的資本の情報開示に関するルール作りが進行中

人的資本の情報開示に関するルール作りは、今まさに世界各国で進んでいる状況です。海外では、例えば国際標準化機構(ISO)が、2018年に人的資本の状態の情報開示のガイドラインとしてISO 30414を策定しています。これを受ける形で、米国では米国証券取引委員会(SEC)が2020年に上場企業に対して人的資本の情報開示(Human Capital Reporting)を義務づけました。欧州でも欧州委員会(EC)の内部機関である欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が2022年4月に「欧州サステイナビリティ報告基準(ESRS)」草案を公表し、2023年より適用予定です。

一方、国内においても、2021年に日本取引所グループがコーポレートガバナンス・コードを改定し、人的資本への投資に対して具体的に情報を開示することを要求しています。また、2022年8月には内閣官房から「人的資本可視化指針」として開示すべき情報やそのための対応などを包括的にまとめたガイドラインが公表されました。

あくまで「指針」。自社の人材に対する「意思」を持って開示項目決定を

これらの各種策定・公表されている開示指針は、現時点では開示情報を企業に義務づけるものではなく、あくまでもガイドラインとして提示されています。

情報開示のそもそもの目的は、自社のミッションやパーパス、中長期の事業戦略の実現に向けて、人的資本をどのような状態に持っていきたいのかを示し、そこに向けた進捗や改善状況を継続的にステークホルダーとコミュニケーションすることです。

単なる開示データの羅列ではなく、人材に対して我が社はどう向き合い、投資を行っていくのかというストーリーを描き、意思を持って開示項目を決めていくことがいいでしょう。