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パルスサーベイ

パルスサーベイとは、毎日・週1回・月1回などの高頻度で、従業員に繰り返し回答してもらう調査のことである。パルス(脈拍)を測るように日常的・継続的に調査することから、パルスサーベイと呼ばれており、通常、大量の設問に答えてもらう従業員満足度サーベイやエンゲージメントサーベイとは別に行われている。多くの場合、Webやメールでアンケートに答える仕組みになっており、数分程度で手軽に答えられるよう、設問数は絞り込まれている。自身の忙しさやモチベーションの度合い、その日の気分、心身の好不調やチームの現況などに関する設問が主流であり、基本的には毎回同じ設問を使う。

パルスサーベイの主な目的は、従業員の健康やモチベーションのケアである。心身・気分の変化や不調、モチベーションの低下をできるだけ早く察知して対応することで、従業員の健康を守り、モチベーションを維持し、休職や離職を予防する効果があると考えられている。同じ設問に繰り返し回答をしてもらうため、回答傾向に急激な変化が見られる場合などには、不調やモチベーションの低下の可能性があるとして、人事や上長から、ヒアリングや面談などの必要な支援を早めに提供することができる。パルスサーベイでは、その性質上、大半の従業員にはフィードバックは行われないか、簡易なフィードバックに限られることが多い。

パルスサーベイの代表的な取り組み事例には、ソフトバンクやサイバーエージェントがある。ソフトバンクは2019年から、自社開発のパルスサーベイを導入している。毎月、13の設問に答えてもらうことで、従業員の日々の充実度がわかる仕組みになっている。サイバーエージェントも、独自開発の「Geepo」というパルスサーベイツールを用いて、従業員に毎月3問の質問に答えてもらい、個人とチームのコンディションを計測している。サイバーエージェントはこのサーベイツールを他社に向けて販売もしている。(本文中の事例は2023年3月時点)