イケアのアップスキルを高める「社員の大人度」とは
究極の「人育て」企業:イケア・ジャパン(2)
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イケアでは一方的な辞令はない。昇進や異動はすべて社内公募制度「オープン・イケア」で決まる
――国は予算をかけて「リスキリング」を推進しようとしています。イケアではコワーカーのアップスキルやリスキルを促すために、どのような取り組みを行っていますか?
朝山:最も特徴的なのは、社内公募制度「オープン・イケア」でしょう。イケアでは会社が一方的に指示する辞令は一切出ません。昇進や異動はすべてオープン・イケアで決まるんです。オープン・イケアは、空席になったポジションに対してコワーカーが手を挙げ、面接をして決定する方式を取っています。オープン・イケアの効果もあるのだと思いますが、新店舗をオープンする際、店長・マネジャーなどの大半のポジションを、社内からのプロモーションと異動で集めることができます。このことが私たちの大きな強みとなっています。
――自主的な挙手に任せていても、人事配置がうまく回るんですか?
朝山:もちろん、人事部はサクセッションプラン(後継者育成計画)を持っています。ただそれは、あるポジションに就ける人材が少ない場合、そのポジションに関わるトレーニングに力を入れて候補者を増やす、というものです。当然ながら、トレーニングに参加するかどうかはコワーカーの自由です。私たちは人の力を信じていますから、上から強制したり抑え込んだりすることは極力避けているんですね。
朝山:なお、自身のキャリアのためにも、同じポジションにできれば3年間ほどは留まってほしいと推奨しています。そのポジションの業務に慣れ、実力を十分に発揮するまで3年かかると考えているからです。ただし、実際にどうするかはやはり個人の自由です。実際には、多くの社員が3年から5年ほどで手を挙げて昇進・異動していますね。
――副業・兼業制度は実施していますか?
朝山:現在はまだ全員には取り入れていませんが、自ら起業する形での副業・兼業は近いうちに認めたいと考えています。なぜなら、イケアは起業家精神を極めて重視しているからです。起業はアントレプレナーシップを確実に鍛えますから、大歓迎なんです。