人的資本経営ラボGROWIN' EGG

オフィスに来てもらうための仕掛けとは?

イベントレポート「第1回スクランブルエッグ」(2)

「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」編集長の羽生祥子と副編集長の石原直子が、気になるゲストをお呼びして、熱いトークを繰り広げながら企業事例やお役立ち情報をお届けするオンラインイベント「スクランブルエッグ」がスタート! 2023年2月28日の第1回は、2人のスペシャルゲストをお招きした。本記事では2人目のゲスト、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスEX&HRマネージャー・岡田美紀子さんと「ハイブリッドワークにおける関係性構築」をテーマに対話した内容を紹介する。
聞き手/羽生祥子(「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」編集長)
    石原直子(「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」副編集長)
文/米川春馬

コロナ禍以降のオフィス出社の目的は「関係性づくり」である

――コロナ(新型コロナウイルス感染症)禍の後はどうなったのですか?  WAAを巡る状況も変わったと思います。

岡田:そのとおりです。当然ですが、コロナ禍の最中は基本在宅ワークとしました。コロナ禍が明けつつある現在は、週にオフィスで1~2日、家で3~4日働く、というスタイルが当たり前になっています。コロナ禍以前とは逆転したわけですね。そして、何よりも世の中全体がWAAになりました。3年前とは景色がまったく違います。

私たちのいまの最大の関心は、「関係性」です。自己決定理論では、人間は「有能感・関係性・自律性」の3つの心理的欲求が満たされると、内発的動機が高まる、と言われています。WAAの導入によって、社員の有能感と自律性が高まりました。そして、関係性は、コロナ禍以前であれば、オフィスに集まって会議をしたりランチを一緒にするなど、会って話すことによって構築していました。アフターコロナの今も、関係性の欲求を満たすためには、やはり実際にリアルで顔を合わせる必要があると考えています。

ですから、私たちはいま、オフィスに出社する目的は「関係性づくり」だ、と社員に伝えています。たとえば、新人は仕事に慣れる上で、周囲との関係を作っていく必要があります。それは出社しないと難しいんです。

岡田 美紀子さん(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社 EX&HRマネージャー)

岡田:ですが、私たちが期待しているほどには、出社率は高まっていません。出社の強制はWAAに反しますから、私たちはオフィス出社を“推奨”にとどめています。部署ごとにチームビルディングのために集まる日を設けてもらうなどして、試行錯誤を続けていますが、出社する社員はなかなか増えないんですね。ハイブリッドワークを是としながらも、チームの関係性をより高めるためにオフィスに来る機会も増やすにはどうしたらよいのか。現状、私たちにも明確な答えが見えてはいません。