人的資本経営ラボGROWIN' EGG

オフィスに来てもらうための仕掛けとは?

イベントレポート「第1回スクランブルエッグ」(2)

「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」編集長の羽生祥子と副編集長の石原直子が、気になるゲストをお呼びして、熱いトークを繰り広げながら企業事例やお役立ち情報をお届けするオンラインイベント「スクランブルエッグ」がスタート! 2023年2月28日の第1回は、2人のスペシャルゲストをお招きした。本記事では2人目のゲスト、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスEX&HRマネージャー・岡田美紀子さんと「ハイブリッドワークにおける関係性構築」をテーマに対話した内容を紹介する。
聞き手/羽生祥子(「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」編集長)
    石原直子(「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」副編集長)
文/米川春馬

どこででも勤務でき、自由に勤務時間を決められる「WAA」

――ユニリーバの紹介からお願いします。

岡田:ユニリーバは、トータルビューティーブランド「ラックス(LUX)」やトータルビューティケアブランド「ダヴ(Dove)」など、世界に400を超えるブランドを有し、全世界で14万8000人が働く会社です。私たちは、「Make Sustainable Living Commonplace(サステナビリティを暮らしの“あたりまえ”に)」というパーパスを掲げ、持続可能な生き方、働き方を真剣につくろうとしています。

――ユニリーバの人事施策といえば、「WAA」が有名です。詳しく教えてください。

岡田:私たちは、働く上では「Be Yourself(あなたらしく)」を大切にしています。その一環として、2016年に「WAA」を導入しました。WAAとは「Work from Anywhere & Any time」の略で、上司に申請すれば、理由を問わず、どこからでも勤務できる制度です。平日6時~21時の間で自由に勤務時間・休憩時間を決められます。全社員が対象で、期間・日数の制限はありません。WAAは全世界に拠点や法人を持つユニリーバのなかでも、日本“発”の制度で、現在もこの分野では日本法人が、ユニリーバグローバルでダントツに先を走っています。

WAAは生産性を高めるために導入した制度です。それ以前は、働くために生活を犠牲にしている社員、通勤や移動で疲弊している社員がけっこういました。彼らのマインドセッドを変えて、生産性を高めるための手段が、WAAだったんです。導入10カ月後、社員の75%ほどが、生産性が上がったと実感していると回答しました。

2016年に導入したWAA(Work from Anywhere & Any time)

――なぜWAAはそれほどまでに機能したのでしょうか?

岡田:結論から言えば、「自分で決められる」ことが最も大きな要因だ、と考えています。自分の勤務時間や休憩時間、どこで働くかを自ら意思決定できるからこそ、一人ひとりが業務の質や生産性にこれまで以上に責任を持ったんですね。実際、短い時間で高い成果を上げる社員が増えました。ただ、コロナ禍以前は、WAAの制度があると言っても、週のうち、オフィスで3~4日、家で1~2日働くという社員が大半でした。病院や子供の学校などの私用があったり、今日はジムに行こうなどと決めた日は自宅勤務にするとしても、基本はオフィスでワイワイガヤガヤ働いていました。