800人のフランチャイズ社長たちを束ねる真髄とは?
イベントレポート「第1回スクランブルエッグ」(1)
石原直子(「人的資本経営ラボGROWIN' EGG」副編集長)
文/米川春馬
800人の社長が同じ船に乗り、センチュリー21ブランドを守り育んでいる
――園田さんが社長を務めるセンチュリー21・ジャパンは、全店舗がフランチャイズという大きな特徴があります。人材育成をどのように進めているのでしょうか。
園田:私たちのビジネスを簡単にご紹介します。センチュリー21は世界85の国と地域で展開する、世界最大級の不動産ネットワークです。日本では1983年に創業し、現在全国に約1,000店舗を展開しています。住まいの売買や賃貸を主な事業としています。
不動産売買仲介ビジネスの大きな特徴は、ほとんどすべてのお客様が不動産のお取引を一生に何度かしか経験しないことにあります。営業担当者は、長く記憶に残る取引をご一緒するわけです。お客様の気持ちを丁寧に汲みとって、貴重な機会を大事に扱える人材を育てたいと思っています。
――私自身も、数年前に家を買いました。おっしゃるとおり記憶に残る体験でした。営業の方がどのような顔つきで、どういったフォローをしてくれたのか、いまでもよく覚えています。
園田:そうでしょう。多くのお客様が、同じように何年経ってもどのような取引であったのか、どのような営業担当者であったのかを覚えているのです。最初のご質問にお答えしますが、センチュリー21にはいま800人ほどのフランチャイズ社長がいます。店舗ごとの従業員の育成は、各社長がそれぞれの方針で行っています。本部の私たちが用意しているのは、育成ツールとしての研修メニューです。
――各社長のグリップはどのようにしているのでしょうか?
園田:グリップなどしていません。800人のフランチャイズ社長の皆さんは、センチュリー21というブランドを掲げる一つの船に乗り、同じ方向を向いてブランドを守り育んでいます。その船に乗る私たちにとって最大のリスクは、ブランド毀損です。各々がブランド価値を損ねないようにしながら、お客様にもっと認知してもらい、支持してもらうにはどうしたらよいか、知恵を絞っています。私の役割は、そうした社長の皆さんの間に立って意見を聞き、まとめていくファシリテーターといったところです。